速すぎる息子のための取扱説明書を作った話

—— ミスを「不注意」と呼ばないための設計

うちの息子は、
「理解できない」わけでも
「集中できない」わけでもない。

速すぎる。

そしてその速さが原因で起きるミスを、
大人がうまく扱えていなかった。

だから私は、
叱り方や声かけを考えるのをやめて、
取扱説明書を作ることにした。


目次

きっかけ:説明が追いつかない子

児童用ウェクスラー式知能検査(WISC)を受けた。

結果は、
全体として高め。
特に知覚推理と処理速度が突出していた。

専門家から言われた言葉が、強く残っている。

「一回見たら覚えてしまうタイプですね」
「写真みたいに入っている感じがします」

一方で、

  • 説明が雑になる
  • ケアレスミスが多い
  • 本人も「なんで間違えたか分からない」

このギャップを、
大人がつい「不注意」「ちゃんと見て」で処理してしまう。

でも、話を聞けば聞くほど、
それは違う気がしてきた。


ミスは「能力不足」ではなかった

小児心理の先生との面談で、
こんな表現が出てきた。

「できることと苦手なことの差が大きい」
「期待値を上げすぎると、できないところが目立つ」

さらに、

「頭がいい子ほど、
“分かった瞬間に決めつける”ことがある」

ここで、ようやく腑に落ちた。

ミスは、
速さの副作用なんだ。


車の例えに置き換えた瞬間、すべてが繋がった

うちの息子は車が大好きだ。

トヨタ86、ポルシェ718、GT-R、
シビックType R、GRスープラ。

スペックや違いを語り出したら止まらない。

そこで、こう言ってみた。

「君は、500馬力あるクルマみたいなもんだね」
「でもブレーキ踏まないと事故るでしょ?」

一気に表情が変わった。

怒られていない。
否定もされていない。
ただ、操作の話をしているだけ。

この瞬間に決めた。

すべてを“レース”で説明しよう。


宿題=レースコースという考え方

難しい/簡単、ではなく、

  • スピード出していいか
  • 丁寧に走る必要があるか

で考える。

1つのサーキットの中に、区間がある。

  • ストレート(勢いOK)
  • カーブ(減速)
  • テクニカル(丁寧)
  • タイムアタック(速さ重視)
  • ピット(見直し)

宿題や課題は、
1レースであり、その中に複数の区間がある。


大事なのは「教えない」こと

親がやるのは、たったこれだけ。

  • どのコースか伝える
  • 操作に戻す
  • 感情を入れない

❌「ちゃんと見て」
⭕「スピード出たね(笑)」

❌「なんで間違えたの?」
⭕「ピット寄ろうか」

人格評価を一切しない。


「説明できなくてもOK」をルールにした理由

うちの家庭ルールは、

  • 説明できなくてもOK
  • ミス=不注意扱いしない

正直に言うと、
親である自分の言語化が追いついていなかった。

だからこそ、
言葉を減らす設計にした。

比喩とイメージを共有してしまえば、
長い説明はいらない。


イラストを作った理由

最終的に、
文字のないサーキットのイラストを作った。

  • 上から見た1つのコース
  • 赤いスポーツカー
  • 色分けされた路面
  • ピットレーン

文字は一切入れない。

理由は単純で、
視覚と感覚で理解してほしかったから。


親が変わると、叱る理由が消える

この仕組みを入れてから、

  • 叱る回数が激減した
  • 息子が自分で減速するようになった
  • 「今日はテクニカル多いね」と言うようになった

すごいことを教えたわけじゃない。

扱い方を変えただけ。


最後に

この子は、

  • 壊れていない
  • 問題があるわけでもない
  • ただ、速い

速い車には、
良いブレーキとコース設計が必要なだけだ。

もし同じように、

  • ケアレスミスが多い
  • 叱ることが増えてきた
  • 親も子も疲れている

そんな家庭があれば、
「操作の話」に戻してみてほしい。

怒らなくて済む世界は、
設計できる。

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